2012年07月24日
第1回 ベルギー・オランダ、ビールの旅
父母の結婚50周年を記念して、両親を連れての海外旅行を計画。5月13日「母の日」に日本を出発、18日は「結婚記念日」、23日は「父の77歳の誕生日」という、ベタな旅をしてきました。名づけて『ベルギー・オランダ、ビールの旅』。
旅行代理店を通さない個人手配の旅行なので、私が専属添乗員。オランダ・スキポール空港からタリス(高速国際列車)で、その日のうちにブルージュへ。緑の平野がつづき、牛や馬が見えるおだやかな景色に、釘付けの両親。
(が、私は知っている。次のアントワープ駅はでかい。乗り換えは地階から3階へ76歳の両親とスーツケースとともに走るのだ、6分で!)
車掌さんに「一番エレベーターに近い車両はどこ?」と尋ねると、
「ボク、わからないなぁ。これは国際列車だから。」とフランス語で言う。(英語、しゃべれや!)
いよいよ、アントワープ駅が近づき、清潔なYシャツを着たビジネスマンに事情を話す。
「わかった、オレについて来い。」
間に合った、スーパーマン!
ブルージュで目覚めた翌朝。たった4部屋しかない、Bed & Breakfast。ここでは、毎朝、焼きたてのパンがいただけます。4日間の滞在予定だけど、初日の今日以外は雨らしい。よしっ、サイクリングに行こう!と貸自転車屋さんへ。
120年の歴史を持つビスケット会社オーナーのBed& Breakfast。
朝食は毎朝、焼きたてのパン。
ダムという小さな町までサイクリング!
【 悲劇1 】
自転車には自信満々だった母、いきなり転ぶ。
「私はホテルへもどるから、アンタたちだけで行ってきて…」このまま落ち込まれてはかなわん、と別の店でママチャリっぽいのを見つけ、ダムという小さな街へ運河沿いをサイクリング! きゃあ、たのしーい。外国まで来て、自転車のっちゃったー。ビールを飲んで、うん、しあわせ。じゃ、もう少し遠出をしてみようか・・・。
【 悲劇2 】
父の自転車、パンク! 戻ろうにも、むり…遠すぎる。自転車屋さんに迎えに来てもらい、気を取り直してボートツアーをしようと舟に乗ったら、超きれいーっ。夕飯はムール貝がいちばん美味しいレストランを予約したけど、雨がちらほら。父が寒いと、上着を取りにホテルへ・・・。
【 悲劇3 】
「ここで待ってるから。」とホテルから100メートルほど離れたところで、待つ。が、来ない・・・・・・。50分たっても来ない。ホテルにもいない。レストランにも来ていない・・・・・・。1時間後、疲れきった両親と遭遇し、やっとレストランへ。が、レストランではすでに食材が終了! この夜は何を食べたか、覚えていない。
初日から、こんな語りきれない珍道中を終え、静岡へ帰ったとき、ふと、思った。
「前は、こんな旅の仕方じゃなかった!」
両親と離れている時、私はネットで段取りをしていた。天気予報に、列車の時間、レストラン……。はずしちゃならん!と口コミチェック。
ねぇ、私はもっと行き当たりバッタラーだったよ。店構えとお客を見ただけで、美味しい店をピタリと当てたじゃない?ウィーンのホイリゲ(※注)も、ネパール奥地の町へも、大体あっちのほう!で行けたじゃん。
駅に行けば、駅員さんも同じようにコンピュータ画面を見てる。
これって、ほんとに便利なの? さんざん調べて、そうそう、口コミどおり! で、予定が狂うと、期待がはずれると、ガッカリ。
ホントは、予期せぬできごとこそ、旅の醍醐味かも。
今回の旅は、まるで人生みたいだなって思っちゃったよ。
※注 ホイリゲ(heurige)とは、オーストリア東部に見られるワイン酒場。ワインの作り酒屋が自家製ワインを売るため、料理も簡単な家庭料理をセルフ・サービス方式で頼むところが多い。
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◆ほかの回のコラムを読む
第1回 ベルギー・オランダ、ビールの旅
第2回 おそれ入ります、お庭ちゃん。
第3回 今さらながら、自己紹介
第4回 土がわたしにくれたもの
第5回 よそもの視点、旅人目線
第6回 すべてのわざには時がある
第7回 『100gのキモチ』 (最終回)
旅行代理店を通さない個人手配の旅行なので、私が専属添乗員。オランダ・スキポール空港からタリス(高速国際列車)で、その日のうちにブルージュへ。緑の平野がつづき、牛や馬が見えるおだやかな景色に、釘付けの両親。
(が、私は知っている。次のアントワープ駅はでかい。乗り換えは地階から3階へ76歳の両親とスーツケースとともに走るのだ、6分で!)
車掌さんに「一番エレベーターに近い車両はどこ?」と尋ねると、
「ボク、わからないなぁ。これは国際列車だから。」とフランス語で言う。(英語、しゃべれや!)
いよいよ、アントワープ駅が近づき、清潔なYシャツを着たビジネスマンに事情を話す。
「わかった、オレについて来い。」
間に合った、スーパーマン!
ブルージュで目覚めた翌朝。たった4部屋しかない、Bed & Breakfast。ここでは、毎朝、焼きたてのパンがいただけます。4日間の滞在予定だけど、初日の今日以外は雨らしい。よしっ、サイクリングに行こう!と貸自転車屋さんへ。
120年の歴史を持つビスケット会社オーナーのBed& Breakfast。
朝食は毎朝、焼きたてのパン。
ダムという小さな町までサイクリング!
【 悲劇1 】
自転車には自信満々だった母、いきなり転ぶ。
「私はホテルへもどるから、アンタたちだけで行ってきて…」このまま落ち込まれてはかなわん、と別の店でママチャリっぽいのを見つけ、ダムという小さな街へ運河沿いをサイクリング! きゃあ、たのしーい。外国まで来て、自転車のっちゃったー。ビールを飲んで、うん、しあわせ。じゃ、もう少し遠出をしてみようか・・・。
【 悲劇2 】
父の自転車、パンク! 戻ろうにも、むり…遠すぎる。自転車屋さんに迎えに来てもらい、気を取り直してボートツアーをしようと舟に乗ったら、超きれいーっ。夕飯はムール貝がいちばん美味しいレストランを予約したけど、雨がちらほら。父が寒いと、上着を取りにホテルへ・・・。
【 悲劇3 】
「ここで待ってるから。」とホテルから100メートルほど離れたところで、待つ。が、来ない・・・・・・。50分たっても来ない。ホテルにもいない。レストランにも来ていない・・・・・・。1時間後、疲れきった両親と遭遇し、やっとレストランへ。が、レストランではすでに食材が終了! この夜は何を食べたか、覚えていない。
初日から、こんな語りきれない珍道中を終え、静岡へ帰ったとき、ふと、思った。
「前は、こんな旅の仕方じゃなかった!」
両親と離れている時、私はネットで段取りをしていた。天気予報に、列車の時間、レストラン……。はずしちゃならん!と口コミチェック。
ねぇ、私はもっと行き当たりバッタラーだったよ。店構えとお客を見ただけで、美味しい店をピタリと当てたじゃない?ウィーンのホイリゲ(※注)も、ネパール奥地の町へも、大体あっちのほう!で行けたじゃん。
駅に行けば、駅員さんも同じようにコンピュータ画面を見てる。
これって、ほんとに便利なの? さんざん調べて、そうそう、口コミどおり! で、予定が狂うと、期待がはずれると、ガッカリ。
ホントは、予期せぬできごとこそ、旅の醍醐味かも。
今回の旅は、まるで人生みたいだなって思っちゃったよ。
※注 ホイリゲ(heurige)とは、オーストリア東部に見られるワイン酒場。ワインの作り酒屋が自家製ワインを売るため、料理も簡単な家庭料理をセルフ・サービス方式で頼むところが多い。
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◆ほかの回のコラムを読む
第1回 ベルギー・オランダ、ビールの旅
第2回 おそれ入ります、お庭ちゃん。
第3回 今さらながら、自己紹介
第4回 土がわたしにくれたもの
第5回 よそもの視点、旅人目線
第6回 すべてのわざには時がある
第7回 『100gのキモチ』 (最終回)
Posted by eしずおかコラム at 12:00